浜寺といえば、かつては大阪の商人たちの別荘が点在する閑静なリゾート地だった。その一角に佇むこの一軒家は、昭和17年に建てられた別荘。
戦火を免れた建物には、オーナーの祖母が所有していた着物、100年近く受け継いできた節句の人形など、家族の思い出が色濃く残されている。そんな場所を改築するきっかけとなったのは、2018年9月に発生した台風21号による建物の損壊。瓦の屋根などの修理とともに改築を進めて、2021年12月に一棟貸しのホテルとしてオープンした。
玄関の扉を開けて足を踏み入れると、外の世界からは感じられない、まるでタイムスリップしたようなレトロ感あふれる情緒が……。天井を見上げると、建築当時から屋根を支える木の柱たち。一部には、建築時に書かれたであろう文字が掠れて残り、その歴史をまじまじと感じさせる。
特におすすめの場所は、扉も当時のままになっている洋室。アンティークなドアノブをひねると、ロッキングチェアや装飾品が並び、シックで落ち着いたロマンを感じる空間が現れる。懐かしい昭和の空気を感じながら仲間や家族と談笑すれば、何事にも代え難い忘れられない時間になるだろう。
ほかにも、季節の木々や花を眺められる庭を散歩したり、縁側で心地よい風を感じたり、五右衛門風呂で汗を流すなど、日本の昔を味わう絶好の機会に……。すべてに昔の別荘としての足跡が感じられる空間で、落ち着いた優雅なひとときを全身で堪能してほしい。
「濵」の隣には、代々続く鋳物問屋のルーツを受け継ぎ、鋳物製品を展示販売している店舗が。こだわりのアイテムを覗きに、是非立ち寄っていただきたい。※2024年6月時点の情報です。(R.N)
- 住所:堺市西区浜寺元町6丁-874-15
- アクセス:JR阪和線鳳駅から徒歩約11分/南海本線浜寺公園駅から徒歩約20分
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