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- 大阪市浪速区
鯛よし百番 昭和中半まで遊郭として使われた豪奢な料亭 飛田新地のシンボルとして登録有形文化財に指定
飛田新地を語るとき、この店を語らずしては何も語れない。それほどまでにこの界隈の代表格として人々の目を惹きつけ続けているこの店は、大正時代初期に遊郭として建造された豪奢な建物を、当時のままの趣を残し続ける料亭。入った瞬間、いや外観を観た瞬間から衝撃を受け、さらに奥へ入るほどにその優美な装飾のすべてに圧倒される。緋色の絨毯が敷かれた廊下。紫色の絨毯が敷かれた階段。そして見上げれば、天井にも工芸的な造作が見られ、たちまちのうちに大正ロマン薫る異世界へと誘われる。個室で懐石料理や鍋料理をいただくことができ、壁画や襖絵などの装飾が、部屋ごとに異なるのが素晴らしい。例えば花々を描いた格天井を持つ「牡丹の間」。月を眺める縁側のある「紫式部の間」等、決して華美でないながらも、あらゆる日本の歴史と物語を彷彿とさせる美しさに出逢える。
料理を楽しむ以外に、館内の見学会も行われている。1つ1つの個室に拘泥された職人・芸術家達の作品にまつわる物語を丁寧に説明いただくのを聞いていると、いつしか恍惚とする自分に気づく。いにしえの先人らがどのような思いでこの部屋を、この建物を創り上げたのか。そしてここに訪れた人々は何を思い何を感じたのか。想像せずにはいられなくなるほど甚深の感動を与えてくれる。
男性客の多いこの界隈で、唯一の女性客同士でも気軽に入れる店というのも興味深い。また、料亭としては比較的リーズナブルな料金設定となっていることも、訪れやすさのひとつとなっている。秘めたる飛田界隈、どこか妖艶な魅力を放つこの店で、非日常的な食事を楽しんでみるのはいかがだろうか。
※料理料金例:会席料理4000円〜、鍋料理3500円〜
※レンタルスタジオとして時間貸しも行っています。
※これは2024年3月現在の情報です。(I.R)
- 住所:大阪市西成区山王3-5-25
- アクセス:OsakaMetro御堂筋線動物園前駅から徒歩約10分